in the grid_#2_#6
亀井佑子
2008年
ゼラチン・シルバー・プリント
64x90cm
移動する視点
2009年4月19日
最初に目についたのは地面に付いた手と足のアンバランスさである。次に視線は手と足の間の奥に広がる空間に移った。視線はそこからさらに下に移り、手前から奥に向かって真っすぐに伸びる線に注意が引きつけられた。
この作品は、トーキョーワンダーサイト主催のemerging artist support program 2008の受賞作品「on the concrete」での展示作品の一つひとつである。企画者は亀井佑子。彼女はこの作品の企画者兼アーティストである。
作品タイトルから読み取れるように、この作品は五枚の写真により成り立っている。五枚とも同じ主題で撮られた写真であるが、他の写真の中で特にTOPで取り上げた写真が気に入った理由は、手足、手足の間の空間、手前から奥に向かって真っ直ぐに伸びる直線という順番での視線の移動がスムーズだったためであり、他の写真と比べ作品に奥行があるように感じたためだろう。
地面に横たわる格子状の模様。普段は特に気に留める機会はほとんどないものだが、それを亀井は片手片足というアンバランスな様子に焦点をあてることにより、見る者の注目をそこに引き付けることに成功した。
シンプルだが美しく、そして心をとらえる作品である。
参照:「トーキョー・ワンダーサイト本郷」