Ai WeiWei of Tokyo Art World JP

_MG_6537.JPG《中国の丸太》 2005年 清時代の寺院に使用されていら鉄目 撮影:渡邉 修 写真提供:森美術館aiweiwei_01_l.jpg《中国の地図》 2004年 清時代の寺院に使用されていた鉄木(1644-1911) 高さ51cm、o200cm (c ) FAKE Studio_MG_6572.JPG 《月の箪笥》 2008年 花梨 320x160x80cm (各) 撮影:渡邉 修 写真提供:森美術館_MG_6693.JPG《漢時代の壺を落とす》 1995/2009年 ラムダプリント 撮影:渡邉 修 写真提供:森美術館_MG_6696.JPG《彩色された壺》 2,006年 新石器時代の壺21個、工業用塗料 サイズ可変 ライスター・コレクション、スイス Courtesy of Galery Urs Meile, Beijing -Lucerne 撮影:渡邉 修 写真提供:森美術館aiweiwei_04_l.jpg《コカ・コーラの壺》 1997年 唐時代の壺 (206BC-24AD)、塗料 24cm, o18cm © FAKE Studio

アイ・ウェイウェイ展 - 何に因って?


2009年7月25日~2009年11月8日
森美術館

アートとは

2009年8月30日

アイ・ウェイウェイは現代中国を代表するクリエイターであり、その活動範囲は美術、建築、デザイン、出版、展覧会企画等多岐に渡る。彼は、2008年北京オリンピック・スタジアム「鳥の巣」のヘルツォーク&ムーロンとのコラボレーション等の活動により、自身の国際的評価を確立した。本展覧会は、新作6点を含む1990年代以降の主要作品26点を紹介する個展であり、立体作品、写真、ビデオ、インスタレーション等、アイ・ウェイウェイの多様な創造活動を鑑賞することができる。

本展覧会の作品をいくつか紹介していこう。まず、《中国の丸太》と呼ばれる作品である。その名の通り、丸太が無造作に床に置かれた作品であるが、その断面が通常の丸太とは異なる。断面は空洞になっており、その空洞部分が中国の領土を表現している。実はこの丸太は一本の丸太ではなく複数の丸太を部分部分組み合わせたものであり、それらの断面部分の輪郭線を組み合せることにより中国領土線が表現されているわけである。

この《中国の丸太》の刳り出された内部を10倍ほどに拡大させたような作品が、次に紹介する《中国の地図》である。《中国の丸太》と同じく、いやそれ以上多数の丸太を組み合せることによりこの作品は表現されている。ちなみに、《中国の丸太》同様、《中国の地図》においても台湾は中国の領土として表現されているようだ。

これら二つの作品のすぐそばに展示されているのが《月の箪笥》だ。長方体の箪笥の側面には円形に刳り抜かれた二つの空洞があり、この箪笥は列をなして幾つも並んで置かれている。それらの端に立って円形の空洞部分を覗きこむと、箪笥毎に円形の空洞の位置が微妙にズレていることに気がつく。このズレが月の満ち欠けのような模様を生み出しているわけである。

以上の三つの「わかりやすい」作品に比べると、以下に挙げる三つの作品は一見するとその意図が「わかりにくい」作品と言えるかもしれない。まず、《漢時代の壺を落とす》と題付された作品。仮に鑑賞者がこの題名を前もって眼にすることがなければ、この作品は単に男が両手に抱えた壺を地面に落とす様子が3枚の白黒写真により表現された作品、としてしか認識できないかもしれない。落下して粉々に割れてしまった壺が大昔の漢時代の物であるという認識することで初めて、作品を表面的に一瞥するだけでは理解できない作者の隠された意図(ここでは「新しい創造のための伝統の創造的破壊」とも言うべきものだろうか?)を感じる、もしくは推察することができるわけである。

同じようなことが《彩色された壺》、あるいは《コカコーラの壺》においても言えるかもしれない。どちらの作品も、壺それ自体が長い歴史を有するものであるという認識を鑑賞者が持つことがなければ、単純に古い壺に装飾が施された作品としてしか理解できないかもしれない。

アートとは、単純に見ることにより得られる情報のみから理解するものとは限らない。そんな思いを抱かされた展覧会だった。

この展覧会の詳細は下記まで。

http://www.mori.art.museum/contents/aiweiwei/index.html


読者プレゼントのお知らせ。本展覧会御観覧ご希望の方は、住所、氏名、年齢をご記載の上、下記アドレス宛てに9月20日までにご連絡ください。抽選で5組10名様の方に本展覧会の入場チケットをプレゼントさせて頂きます。

tokyoartworld@gmail.com



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